<Header>
<Author: 白居易>
<Title: 新樂府 李夫人	鑒嬖惑也>
<Format: 格式不明>
<Year: 2011>
<BookName: 白楽天詩選（上）>
<Translator: 川合康三>
<style: 現代文無假名>
<style2: 日本現代譯文無假名標注>
<TranslatedTitle: 李夫人（りふじん） 　嬖惑（へきわく）に鑑（かんが）みるなり>
<BookPage: 185-369>
<UsedPage: 185>
<Feature: 1, 4>
<End Header>
<Poem>
漢武帝，
初喪李夫人。
夫人病時不肯別，
死後留得生前恩。
君恩不盡念未已，
甘泉殿裏令寫真。
丹青畫出竟何益，
不言不笑愁殺人。
又令方士合靈藥，
玉釜煎鍊金鑪焚。
九華帳深夜悄悄，
反魂香降夫人魂。
夫人之魂在何許，
香煙引到焚香處。
既來何苦不須臾，
縹緲悠揚還滅去。
去何速兮來何遲，
是耶非耶兩不知。
翠蛾髣髴平生貌，
不似昭陽寢疾時。
魂之不來君心苦，
魂之來兮君亦悲。
背燈隔帳不得語，
安用暫來還見違。
傷心不獨漢武帝，
自古及今皆若斯。
君不見穆王三日哭，
重璧臺前傷盛姬。
又不見泰陵一掬淚，
馬嵬坡下念楊妃。
縱令妍姿豔質化爲土，
此恨長在無銷期。
生亦惑，
死亦惑，
尤物惑人忘不得。
人非木石皆有情，
不如不遇傾城色。
<End Poem>
<Translation>
漢の武帝が、李夫人の死に嗚咽した時のこと。
病床で変わり果てた李夫人は、お別れにお顔を見せることもせず、美しい記憶を留めたおかげで、死後も生前に変わらぬ恩寵を受け続けました。
帝の恩寵は尽きず、姫への想いもやまず、甘泉殿のなかにその肖像画を画かせました。
赤や青の絵具で画いたものが、だが何になりましょう。ものも言わず笑いもせず、人を悲しませるだけで。
その上に方士に秘薬の調合を命じ、玉の釜で火に掛け、金の香炉で焼き上げました。
九華の帳のなか、静まりかえる夜、返魂香は李夫人の魂を降臨させたのです。 
李夫人の魂はどこにあるのか、たなびく煙に導かれ現れた先は、香を焚くあたり。
わざわざ訪れて何が辛いのか、一時も留まりはせず、もやもやゆらゆらと再び消え去ってゆきました。
去るのは速く来るのはかくも遅い。姿はまことかまぼろしか、いずれとも定めはつきません。
翡翠色の眉はくっきりと、つねの面影を残し、昭陽殿に臥せっていた頃のやつれはま るで見えません。
魂が来なければ帝の胸は痛むが、魂が来たら来たで帝を悲しませるばかりです。
灯燭を後ろに向け、とばりを隔て、言葉を交わすことさえできず、しばし到来してじきに去るなら、来なくていいものを。
心を傷めたのはひとり漢の武帝のみではないのです。昔から今に至るまで、みなこれと似たようなもの。
御存知でしょう、周の穆王は三日の間、働哭し続けたことを。盛姫のために作った重璧台を前に、亡き姫を偲んで。
そしてまた御存知でしょう、玄宗が一掬の涙をこぼしたことを。
馬嵬の路上で楊貴妃への想いをとどめあえずに。
たとえ麗姿艶容が土に化しても、この悲しみは永遠に続き、消える時はないのです。 生きている時は心乱され、死ねばまた心乱される。美女とは人を惑わし忘れられなくするもの。
木石ならぬ人間の身、誰しも情愛はあります。ならば傾城の美女とやらには遭わぬ方がよいでしょう。
<End Translation>
<Formatted Translation>
漢の武帝が、
李夫人の死に嗚咽した時のこと。
病床で変わり果てた李夫人は、お別れにお顔を見せることもせず、
美しい記憶を留めたおかげで、死後も生前に変わらぬ恩寵を受け続けました。
帝の恩寵は尽きず、姫への想いもやまず、
甘泉殿のなかにその肖像画を画かせました。
赤や青の絵具で画いたものが、だが何になりましょう。
ものも言わず笑いもせず、人を悲しませるだけで。
その上に方士に秘薬の調合を命じ、
玉の釜で火に掛け、金の香炉で焼き上げました。
九華の帳のなか、静まりかえる夜、
返魂香は李夫人の魂を降臨させたのです。 
李夫人の魂はどこにあるのか、
たなびく煙に導かれ現れた先は、香を焚くあたり。
わざわざ訪れて何が辛いのか、一時も留まりはせず、
もやもやゆらゆらと再び消え去ってゆきました。
去るのは速く来るのはかくも遅い。
姿はまことかまぼろしか、いずれとも定めはつきません。
翡翠色の眉はくっきりと、つねの面影を残し、
昭陽殿に臥せっていた頃のやつれはま るで見えません。
魂が来なければ帝の胸は痛むが、
魂が来たら来たで帝を悲しませるばかりです。
灯燭を後ろに向け、とばりを隔て、言葉を交わすことさえできず、
しばし到来してじきに去るなら、来なくていいものを。
心を傷めたのはひとり漢の武帝のみではないのです。
昔から今に至るまで、みなこれと似たようなもの。
御存知でしょう、周の穆王は三日の間、
働哭し続けたことを。盛姫のために作った重璧台を前に、亡き姫を偲んで。
そしてまた御存知でしょう、玄宗が一掬の涙をこぼしたことを。
馬嵬の路上で楊貴妃への想いをとどめあえずに。
たとえ麗姿艶容が土に化しても、
この悲しみは永遠に続き、消える時はないのです。 
生きている時は心乱され、
死ねばまた心乱される。
美女とは人を惑わし忘れられなくするもの。
木石ならぬ人間の身、誰しも情愛はあります。
ならば傾城の美女とやらには遭わぬ方がよいでしょう。
<End Formatted Translation>